Q:転職の経緯を教えてください
私は地元の調剤薬局からキャリアをスタートし、その後大学病院に移りました。そこで感染制御や抗菌薬適正使用に深く関わる機会を得て、薬剤師としての幅を広げることができました。ただ、夜勤や当直が多く家庭との両立が難しくなり、数年前に総合病院へ転職しました。現在は病棟業務やカンファレンス参加を中心に、日勤体制で働いています。キャリアの節目で「家庭と仕事のバランス」を見直し、自分の強みを活かせる環境に移れたのは大きかったと思います。
20年以上のキャリアを持ち、感染制御チームにも参加する松本 由紀(仮名)さんにお話を伺いました。
私は地元の調剤薬局からキャリアをスタートし、その後大学病院に移りました。そこで感染制御や抗菌薬適正使用に深く関わる機会を得て、薬剤師としての幅を広げることができました。ただ、夜勤や当直が多く家庭との両立が難しくなり、数年前に総合病院へ転職しました。現在は病棟業務やカンファレンス参加を中心に、日勤体制で働いています。キャリアの節目で「家庭と仕事のバランス」を見直し、自分の強みを活かせる環境に移れたのは大きかったと思います。
院内ではAST(抗菌薬適正使用支援チーム)の一員として活動しています。抗菌薬の処方が妥当かどうかをチェックし、必要に応じて医師へ処方提案を行います。例えば、セフェム系抗菌薬が漫然と使用されているケースでは、『この症例ならペニシリン系が第一選択ではないか』と助言します。最初は医師に意見を伝えるのに勇気が要りましたが、今では『薬剤師の視点が役立つ』と受け入れてもらえることが増えました。感染制御は薬剤師の知識が直結する分野なので、やりがいを強く感じています。
カンファレンスには医師、看護師、リハビリスタッフ、管理栄養士などが参加します。その中で私が大切にしているのは薬学的評価を専門用語だけでなく分かりやすい言葉で伝えることです。例えば『抗菌薬の半減期』ではなく『血液中で効力が続く時間』と説明するなど、専門外の人にもイメージが湧く言葉を選びます。そうすることで、『薬剤師に相談してよかった』と感じてもらえるのです。時に議論が白熱することもありますが、患者さんの利益を第一に置く姿勢を崩さないように心がけています。
新人薬剤師とペアを組み、服薬指導や疑義照会に同席するようにしています。特にDI業務(医薬品情報提供)では、情報を鵜呑みにせず、一次情報までたどり着く習慣を身につけてもらうように指導しています。また、後輩がミスをしたときも頭ごなしに叱るのではなく、『どうしてそう判断したのか?』と一緒に考えるようにしています。自分が若い頃に厳しい指導で萎縮してしまった経験があるので、『安心して質問できる先輩』でありたいと思っています。
患者さんが退院される際、『あなたに相談できてよかった』と直接声をかけていただけたときは本当に嬉しかったです。病棟では持参薬管理や相互作用チェックを通じて安全性を担保するだけでなく、服薬指導を通じて患者さんが安心して治療を続けられるようサポートしています。特に抗菌薬や抗がん剤では副作用の不安が大きいため、『安心して飲める』と言っていただける瞬間は、薬剤師として続けてきてよかったと思える瞬間です。
これまで培ってきた感染制御の知識をさらに深め、感染制御専門薬剤師の資格取得を目指しています。また、緩和ケアやNST(栄養サポートチーム)など他の領域にも関心があります。薬剤師は学び続けなければいけない職業なので、日々の業務の中で得た気づきを学会発表や症例報告につなげ、後輩たちにも共有していきたいです。
豊富な経験を活かし、チーム医療と教育の両輪で病院を支える。ベテランだからこそ見える景色があります。
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