Q:現在の業務について教えてください
私は福岡市内の大学病院薬剤部に勤務しており、外来調剤、病棟業務、そして救急外来の薬剤師業務を担当しています。救急外来では急変患者の処方がその場で発生するため、処方監査のスピードと正確性が求められます。抗菌薬や鎮静薬、輸液の投与設計を瞬時にチェックし、必要に応じて疑義照会を行います。また、ICUや循環器内科の病棟も担当しており、持参薬管理や相互作用チェック、退院前の服薬指導を日々行っています。夜勤も月に数回あり、深夜の時間帯でも処方が途切れることはなく、緊張感と責任の大きさを実感しています。
Q:夜勤や救急対応で大変なことは?
夜勤帯はスタッフが少ないため、一人にかかる負担が大きいです。特に救急搬送が立て続けに入ると、カルテ入力、薬歴確認、処方鑑査を同時並行でこなさなければなりません。かつて、外傷患者に複数の鎮痛薬が重複して処方された際に気づき、医師に提案して変更につながったことがありました。その時『薬剤師がいなければ危なかった』と言われたのが強く記憶に残っています。眠気や疲労がピークに達する明け方でも、調剤過誤防止の意識を緩めるわけにはいきません。ダブルチェックが難しい場面では、必ず口頭で確認を取り合う工夫をしています。
Q:患者との関わりで印象に残ったことは?
ある心不全の患者さんは、退院後も利尿薬の飲み忘れで再入院を繰り返していました。そこで服薬支援カレンダーを導入し、ご家族と一緒に服薬アドヒアランス支援に取り組みました。数か月後、『再入院せずに過ごせています』と報告を受けたとき、薬剤師の関わりが患者さんの生活の質に直結していると実感しました。救急や病棟では患者さんと直接接する時間が短いこともありますが、一瞬の説明が大きな意味を持つのだと気づかされました。
Q:チーム医療の中での役割は?
医師や看護師との連携は欠かせません。多職種カンファレンスでは、抗菌薬の選択や投与量、腎機能に応じた調整などを提案します。以前、腎不全患者に通常量の抗菌薬が処方されていたケースで、減量を提案し副作用回避につながったことがありました。最初は意見を出すのに勇気が要りましたが、今では『薬剤師の指摘が助かった』と言ってもらえることも増え、自信につながっています。救急医療の現場は刻一刻と変化しますが、薬の専門家として声を上げる責任を強く感じています。
Q:今後のキャリアについて考えていることは?
これからは救急認定薬剤師の資格取得を目指しています。福岡は救急搬送件数が多く、薬剤師が現場で果たす役割はますます大きくなると感じています。夜勤や救急対応は体力的にきつい部分もありますが、その分、患者さんの命に直結する瞬間に立ち会えるやりがいがあります。いずれは後輩薬剤師に救急業務を指導できる立場になりたいと思っていますし、学会発表や症例報告にも積極的に取り組んでいきたいです。
職場の魅力まとめ
- 救急やICUで最前線の経験が積める
- 夜勤を通じて判断力と責任感が磨かれる
- 多職種カンファレンスで専門性を発揮できる
- 患者の生活の質に直結する支援ができる