Q:現在の勤務内容について教えてください
私は香川県の住宅地にあるかかりつけ薬局で勤務しています。主な業務は外来調剤と服薬指導ですが、最近は在宅訪問の割合が増えてきました。高齢化が進む地域ということもあり、糖尿病や高血圧など慢性疾患を抱える患者さんが多いです。外来では一包化調剤や相互作用チェックを徹底し、調剤過誤防止のためダブルチェック体制を取っています。昼のピーク時には、窓口で次々と患者さんが来られますが、調剤と同時に「飲み忘れがないか」「副作用が出ていないか」を短時間で確認しなければならず、集中力を維持するのが大変です。電子薬歴システムを活用し、過去の記録を即座に参照できるようにしているのが助けになっています。
Q:在宅訪問ではどのような工夫をしていますか?
在宅訪問は1日2〜3件程度。ご自宅や施設に伺い、残薬整理や服薬カレンダーを使った飲み忘れ防止を行います。ご高齢の方は10種類以上の薬を服用されているケースもあり、ポリファーマシーへの対応が欠かせません。例えば、抗不安薬や睡眠薬が複数処方されていた患者さんのケースでは、医師に疑義照会し処方の見直しが行われ、副作用が軽減されたことがありました。また、介護職や訪問看護師と情報共有を密にすることで、服薬アドヒアランスを高めることができます。LINEグループを活用し、食欲不振や便秘など些細な変化もすぐに共有する体制を作っています。
Q:子育てと仕事の両立についてはいかがですか?
私は小学生と幼稚園児の二人の子どもを育てながら働いています。以前は総合病院に勤務していましたが、夜勤や残業が多く、育児との両立が難しくなり転職を決意しました。現在の薬局では時短勤務制度を利用でき、学校行事や急な体調不良にも柔軟に対応できています。朝は子どもを保育園に送り、そのまま出勤。夕方17時には退勤して夕食準備に間に合うようにしています。薬局のスタッフも同じように子育て経験がある方が多く、理解があり助けられています。忙しい時間帯は一瞬も気が抜けませんが、家庭と両立できていることが心の支えになっています。
Q:患者との関わりで印象的な出来事はありますか?
在宅訪問をしている80代の女性患者さんが、以前は飲み忘れが多く、血圧コントロールがうまくいっていませんでした。そこで、一包化調剤に加えて服薬カレンダーを導入し、訪問のたびにご家族にも服薬状況を説明しました。数ヶ月後に『血圧が安定して、散歩に出られるようになった』と笑顔を見せてくださり、本当にうれしかったです。薬剤師として、薬を渡すだけでなく患者さんの生活の質に直結する支援ができることを実感しました。また、小児患者さんの粉薬をゼリーに混ぜる工夫を保護者にお伝えした際、『初めて全部飲めました!』と感謝された経験も忘れられません。
Q:今後のキャリアについて考えていることは?
これからは緩和ケア薬剤師の資格取得を目指しています。地域包括ケアの流れの中で、在宅で最期を迎える方を支える役割が薬剤師にも求められています。疼痛管理やオピオイド調整など専門性を高め、患者さんやご家族が安心して過ごせるようにしたいです。また、後輩薬剤師や実習生への指導にも関心があり、教育に携わることで薬剤師としての幅を広げたいと思っています。
職場の魅力まとめ
- 子育てと両立できる柔軟シフト
- 在宅訪問で生活背景に合わせた支援
- 高齢者に配慮した一包化工夫
- 地域密着で長期的に患者と関われる