Q:転職のきっかけを教えてください
私は大学卒業後、長崎市内の中規模病院でキャリアをスタートしました。しかし、感染症に関する体制が整っておらず、耐性菌のアウトブレイクを経験したことが転機となりました。その後、より高度な感染制御に関わりたいと考え、感染制御チーム(ICT)が充実した現在の総合病院へ転職しました。『患者さんを守るには薬剤師の視点が不可欠』と痛感し、臨床現場での役割を広げる決断でした。
総合病院で25年以上のキャリアを積み、現在は感染制御と新人教育を担うベテラン薬剤師・田中 美咲(仮名)さんにお話を伺いました。
私は大学卒業後、長崎市内の中規模病院でキャリアをスタートしました。しかし、感染症に関する体制が整っておらず、耐性菌のアウトブレイクを経験したことが転機となりました。その後、より高度な感染制御に関わりたいと考え、感染制御チーム(ICT)が充実した現在の総合病院へ転職しました。『患者さんを守るには薬剤師の視点が不可欠』と痛感し、臨床現場での役割を広げる決断でした。
大きく分けて感染制御と教育の二つを担当しています。感染制御では、抗菌薬の適正使用を推進するために処方鑑査や医師への提案を行い、院内の感染状況をモニタリングしています。教育面では、新人薬剤師や実習生に対し、調剤や処方監査の基本に加え、『なぜこの薬なのか』を考える臨床判断力を養う指導をしています。
数年前、術後患者さんから多剤耐性緑膿菌が検出されたことがありました。医師は強力な抗菌薬を使用しようとしましたが、私は感染部位や菌量を踏まえ、より限定的な薬剤を提案しました。結果的に治療は奏功し、副作用リスクを抑えることができました。その時、医師から『薬剤師の視点が治療の鍵になった』と言っていただき、チーム医療の一員としての誇りを強く感じました。
知識を一方的に伝えるのではなく、ケーススタディを通じて自ら考える力を養うことを大切にしています。抗菌薬の選択一つでも、病態・患者背景・耐性リスクを総合的に判断する必要があります。新人薬剤師が実際の症例をもとに議論することで、現場での応用力が育ちます。また、若手が勉強会で発表する機会を設け、自分の言葉で説明できる力を鍛えています。
長崎県は離島が多く、医療資源が限られる地域もあります。そのため、基幹病院として遠隔カンファレンスやWeb研修を実施し、離島の薬剤師とも連携しています。感染制御は一施設だけで完結するものではなく、地域全体で耐性菌を広げない努力が欠かせません。
病院勤務は残業や当直もありますが、近年は電子薬歴やICTツールの導入で効率化が進みました。感染制御に関するデータもリアルタイムで共有され、チーム全体で意思決定がしやすくなっています。院内はダブルチェック体制を徹底しており、調剤過誤防止の仕組みも整っています。
今後は、感染制御の知識を地域全体に広げることが目標です。中小病院や調剤薬局でも抗菌薬適正使用の重要性は増しており、研修や教育の場を通じて貢献したいと考えています。また、若手薬剤師が『感染制御や教育もキャリアの選択肢』と前向きに捉えてもらえるよう、ロールモデルとして発信していきたいです。
25年の経験を活かし、感染制御と教育で病院を支える。長崎の総合病院で、薬剤師として新たな使命を果たしています。
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