Q:業務内容について教えてください
私は現在、大学病院の外来がん化学療法センターを担当しています。抗がん剤の調製は、わずかな計量ミスが重大な副作用に直結するため、1本1本のバイアルを扱う際に心拍数が上がるのを感じます。調製後には二重チェックを行い、投与直前には患者さんの検査値や体調も必ず確認します。副作用モニタリングでは、吐き気・食欲不振・末梢神経障害といった症状の変化を細かく聞き取り、医師や看護師にフィードバックします。並行して治験薬の管理にも関わっており、専用冷蔵庫の温度記録や残薬確認など細かい業務が山積みです。さらに症例報告の補助として、症例経過をまとめる作業にも参加しています。毎日が勉強で、昨日の常識が今日には変わっていると実感する日々です。
Q:治験薬管理の難しさは?
治験薬の管理は、薬剤師業務の中でも特に緊張感があります。国際的な基準であるGCPに沿って記録を残さなければならず、温度管理や使用量の記録に一つでも漏れがあると治験全体の信頼性を揺るがしかねません。例えば、冷蔵庫の温度が一時的に2℃外れてしまっただけでも、使用中止の判断や製薬会社への報告が必要になることがあります。こうした一見小さな出来事も、治験薬の有効性や安全性のデータに直結するため、スタッフ全員でチェック体制を徹底しています。モニタリングの際には、製薬会社の担当者から細かい質問を受けることも多く、最初は緊張で答えに詰まることもありましたが、今では「自分が治験を守っている」という責任感がやりがいにつながっています。
Q:患者との関わりで印象に残ることは?
ある患者さんは副作用で食欲がほとんどなくなり、治療を継続することに不安を抱えていました。その方に、支持療法の工夫として冷たい食べ物や酸味のあるものを取り入れると楽になる可能性があるとお伝えしました。後日、『あのアドバイスのおかげで少しずつ食欲が戻り、治療を続けられています』と笑顔で言っていただいたとき、胸が熱くなりました。薬剤師は調剤だけでなく、患者さんの生活の質を支える役割を担っているのだと実感しました。病棟でも、副作用に苦しむ患者さんの表情が少しでも和らぐ瞬間を見ると、どんなに忙しくてもこの仕事を続けてよかったと思えます。
Q:今後のキャリアについて考えていることは?
将来的には外来がん治療専門薬剤師の資格取得を目指しています。資格取得のためには症例数や研修が必要で、日常業務と並行するのは大変ですが、患者さんにとって一番身近な存在として治療を支えたいという思いがあります。さらに緩和ケアの分野にも関心があり、治療だけでなく患者さんの生活全体を支える視点を持てる薬剤師になりたいと考えています。
職場の魅力まとめ
- 先端医療に関わる経験が積める
- 治験薬・がん治療支援の専門性が高い
- 副作用対策で患者から感謝される
- 多職種連携の中で成長できる